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ー食品衛生の営業規制は3区分ー
「許可がいらない」と聞くと、手続きが何も要らないと捉えがちですが、食品営業では「許可」が不要でも「届出」が必要なケースがほとんどです。食品衛生法上、「届出」対象外にもなるケースは限定的であることを押さえておきましょう。
まず、現在の食品衛生法のもとでは、以下の3つ区分がされています。
そして、1つの施設・事業でも、営業行為の組合せにより「許可に加えて届出が必要」など手続きが複数になる場合があります。
この記事では、どのような営業がどこに該当するかを“境界線”で整理し、申請前に確認すべき材料を解説します。ただし、地域や品目、設備状況で取扱いが変わる部分は、自治体により取扱い・要件・必要書類が異なる場合がありますので注意してください。
判断のコツは、店の形態(店舗・EC・間借り)よりも、「食品にどこまで手を入れるか」で考えることです。食品衛生法上の「営業」は、一般に業として(反復継続性・営利性などが認められる形で)食品の製造・加工・調理・販売・運搬等を行うことが前提で、営業行為が増えるほどリスクが上がり、許可対象に該当する可能性が高まります。
たとえば、同じ“肉を売る”でも、容器包装に入れられた状態で仕入れてそのまま販売するのと、店内でカットして盛り付け直すのでは判断が変わります。イベント等で「単発」に見える提供でも、内容や提供方法によっては食品衛生法上の営業に該当するとして整理され、手続きが必要になることもあります。
逆に「許可も届出も不要(届出対象外)」とされる代表例のひとつは「常温で長期間保存しても腐敗、変敗その他品質の劣化による食品衛生 上の危害の発生の恐れがない包装食品の販売業」です。ここで大事なのは、「少し手を入れた(開封・小分け・再包装・表示の作成/変更等)」「保管条件が変わった(要冷蔵品が混ざった等)」で判断が変わり得る点です。
さらに、許可ではなく届出で足りる営業が広く存在します。届出は許可と異なり、一般に「許可基準への適合確認(施設検査)を受けてから開始する」ことを前提としない制度として整理されます。
一方で、届出の対象となる営業でも、衛生上の基準・管理が不要になるわけではなく、届出後に立入・指導等が行われることはあります(運用は自治体により異なる場合があります)。
また、許可・届出の対象となる施設では、HACCPに沿った衛生管理は制度化されており、原則としてHACCPに沿った衛生管理(簡略化を含む)の考え方に基づく衛生管理が求められます。食品衛生責任者(または自治体が定める同等の責任者)についても、許可・届出の対象となる多くの営業で設置が求められます。つまり「許可が不要=衛生管理も不要」ではなく、多くの食品営業において食品衛生管理はデフォルトになっています。
最後に、許可も届出も不要(=営業届出の対象外)とされるのは、次に挙げるような「公衆衛生への影響が小さい営業」に限られます。
届出対象外(公衆衛生への影響が少ない営業)として示される主な類型は次のとおりです。
ただし、「営業届出が不要」でも別制度の手続きや要件が消えるとは限りません。たとえば輸入は、食品衛生法に基づく輸入時の手続き(輸入届出等)を含め、貨物・品目ごとに別途の対応が必要になります。(詳細は取扱い品目・形態により異なります)
また、届出対象外のうち一部(例:①〜③、⑤)については、制度上「衛生管理計画・手順書の作成を必要に応じて行う」こととされていますが、衛生的な取扱い(汚染防止、温度管理、異物混入防止等)が不要になる趣旨ではありません。
「ネットで“許可不要”と見たけど、自分の商材も同じ?」という安易な判断はよくありません。結論から言うと、同じ食品カテゴリでも、温度帯・開封(小分け)・再包装・表示の作成/変更・詰め合わせの有無等で扱いが変わります。
例えば、“お菓子”は許可不要の話題に出やすい一方で、焼き菓子を自分で焼くなら菓子製造業に該当しますし、仕入れ品でも詰め合わせや小分けをすると別の整理が必要になることがあります。
以下のミニケースで境界線を確認してみましょう。
未開封の市販品であっても、「届出対象外」に当たり得るのは、手引き等で例示されるような 「冷凍・冷蔵によらない方法で保存した場合に腐敗・変敗等による危害のおそれがないと整理される包装食品」に限られます。仕入れた状態のまま発送するだけ(開封・小分け・再包装・表示の作成/変更をしない)で、要冷蔵・要冷凍品が混在しないことが前提です。
注意点として、自分で再包装したり、無店舗(インターネットや通信販売など)により販売したりする場合には、届出のケースに該当するため、販売の方法によって判断の整理が必要となります。
肉や魚介類の販売は、方法によって許可・届出の整理が大きく変わります。「専ら容器包装に入れられた状態で仕入れ、そのままの状態で販売する」だけの形であれば、許可ではなく届出に整理されます。
一方で、店内でのカット、盛り付け直し、小分け、味付け、加熱(焼く・揚げる)などの工程が加わると、食肉販売業・魚介類販売業・飲食店営業・そうざい製造業等の「許可業種」に該当することになります。
どの許可業種に当たるかは、工程(加熱の有無、調理の完成度、提供形態など)で変わるため、ここでも判断の整理が必要となります。
この領域は自治体差が大きく、「露店の扱い」「臨時の営業形態」「提供食数」「メニューの簡易性」「提供場所の設備条件」などで必要な手続きが変わりやすい分野です。
例えば、家庭用の台所そのままの環境で製造した食品を販売する形は、施設基準等の観点から要件を満たしにくく、運用が厳しくなりやすい類型です。逆に、包装済み飲料を未開封のまま配布するだけなら、その他の条件次第ですが判断すべき要件が絞られる可能性が高まります。
イベント系は「同じ品目でも、提供方法で整理が変わる」典型例なので、提供手順まで含めて事前に整理しておくと、要件・観点の漏れを最小限にすることができます。
許可が要るかどうかは「自治体の要件に合わせて一回で伝わる材料」を揃えることが重要です。特に、許可・届出・対象外の境界は、“言語化の精度”で整理が変わることがあります。
そこで、事前に「何を、どこで、どう加工して、どの温度帯で、誰に、どう渡すか」を整理して持参できる形にしておくことが、スムーズな相談に繋がります。設備投資が絡む人は、工事前に方向性を固めないと、配管・手洗い・区画のやり直し発生の可能性が高まるため注意が必要です。
判断の材料をもとに、地域の食品衛生担当窓口(例:保健所等)で「想定業態は許可か届出か対象外か」「必要なら許可業種名は何か」「手続きが複数に分かれる可能性はあるか」を確認する
方向性が固まってから、工事・物件契約・厨房機器購入に進む(先に進めるほど手戻りした際のリスクが高くなる)
「許可がいらないはず」と自己判断して進めた結果、差し戻しになりやすいのは、運用面での想定外や勘違いです。たとえば、常温品のつもりが実際は冷蔵管理が必要になった、ギフト用に詰め替えた、イベントだけのつもりが継続販売になった、といった内容が典型例です。
行政側は食中毒リスクを想定して整理するため、温度帯・提供までの時間・誰が食べるか(不特定多数か)が重要視されます。
次の10項目に一度チェックを入れ、曖昧な項目が残るなら、その部分を質問として整理して相談すると、勘違いや想定外の運用を防ぐことに役立ちます。
食品営業の申請で、危険なのは“許可不要=手続き不要”と短絡的に判断することです。実際は、許可・届出・(営業届出の)対象外の3つに区分されており、さらに同じ食品でも「開封・小分け」「温度帯」「加工の深さ」でどの区分に該当するのかが変わってきます。
言い換えれば、ここを先に整理して自治体の最新要件(公表資料・手引き・公式案内)に当てはめれば、工事や準備の手戻りはかなり減らすことができます。特に、ECやイベントは運用が見えにくい分、文章で説明できるようにしておくことが判断の助けになります。
本記事は、食品営業許可・届出の一般的な考え方を整理したものです。最終的な要否や必要書類、運用は自治体や個別条件で変わることがあります。最新情報は自治体の公表資料・手引きで確認し、個別案件は営業施設所在地を管轄する食品衛生担当窓口(例:保健所等)で要件を確認してください。